PSM分析とは?活用方法やメリット・デメリット、注意点

ライター:株式会社ネオマーケティング

公開日:2022年07月13日 | 更新日:2022年11月22日

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自社商品の価格を設定するにあたり、気になるのが消費者の意見です。企業目線で価格を設定すると、消費者からは「高い」と購入に至らない可能性があります。とはいえ、価格を下げすぎると企業の利益につながりません。そこで、消費者に受け入れらる最適価格を見つけるための「PSM分析」についてご紹介します。

 

PSM分析とは

PSM分析とは、商品の価格を設定する際に、参考となる統計を分析する手法です。
正式名称は「Price Sensitivity Measurement(価格感度測定)」であり、一般的には省略されてPSM分析と呼ばれています。消費者に価格に関する質問を行い、企業側と消費者の中でバランスの良い価格帯をみつけることが目的です。商品サービスに対する価格受容性を測る為に活用します。

質問内容は、特定の商品をもとに「いくらぐらいから高いと感じるか」「いくらなら買いたいと感じるか」などが多い傾向です。回答内容は個人差が大きくなりがちですが、価格の上限と下限を決めるうえで参考となるため、企業としては貴重な意見といえます。設定価格は販売数量に直結するといっても過言ではありません。新たな商品・サービスの提供を検討しているのであれば、PSMを用いた価格設定が重要です。

「価格」は、購入・利用の決め手となり、またブランドイメージを左右する重要要素です。生産者(販売者)側は「なるべく利益を最大化させる価格で売りたい」と考え、消費者側は「なるべく商品・サービスを低い価格で購入したい」と考えます。

しかし、単に商品・サービスの価格を安くすれば良いわけではありません。消費者の感覚と比べて、商品・サービスの価格が安すぎる場合、品質が疑われ、購入されない可能性もあります。また、消費者の感覚としては、もっと高くても購入するという商品・サービスで、その価格よりも安い価格で販売してしまうと、本来得られるはずの利益が得られないことにもつながります。どのような価格帯で売り出すべきかは、ターゲットとなる消費者の感覚・心理を捉えたうえで決定する必要があります。

PSM分析を使用することによって、「どのような価格を設定すれば消費者に受け入れられやすいか」がわかります。どのように価格設定をすれば良いかわからない人に向いていると言えるでしょう。

PSM分析の方法

PSM分析を行うにあたっては、ネットリサーチを提供しているマーケティング会社・リサーチ会社への依頼が必要です。その会社が保有しているアンケート会員組織(アンケートパネル)にアンケート調査を行ない、PSM分析で適正価格を探っていきます。


自社の顧客やECサイトの会員にアンケートを取得すればいいと思う方もいるかもしれません。しかし、自社の会員という時点で、そこにはその企業の商品・サービスを高く評価するバイアスが生じます。新規顧客獲得も視野に入れた金額設定であれば、バイアスがかかっていない、アンケートパネルに調査をするのが良いでしょう。


また、セルフリサーチも一部の方を除きお勧めしていません。PSM分析は調査結果を適切に処理し、適切な価格帯を見極める必要があるからです。また、PSM分析だけで適正価格を判断するデメリットも存在するため、他の分析方法なども合わせて、1つの調査を通して多角的に解釈することが必要です。


過去に何度も調査を経験し、価格受容性に対して正しい理解がある方であれば、セルフリサーチでコストを抑えて調査し、ご自身で分析することも可能でしょう。

ネオマーケティングは、日本国内約2700万人のアンケート会員を抱え、調査設計から分析・提言まで、伴走しております。お気軽にお問い合わせください。

PSM分析の具体的な手法と四つの価格

ネ消費者の価値観を調べるPSM分析では、ユーザーに対して四つの質問を投げかけます。質問の内容は以下の四つです。

 

・特定の商品「X」はいくらくらいから「高い」と感じますか?
・特定の商品「X」はいくらくらいから「安い」と感じますか?
・特定の商品「X」はいくらくらいから「高すぎて買えない」と感じますか?
・特定の商品「X」はいくらくらいから「安すぎて買いたくなくなる」と感じますか?

上記の質問によって得られた調査結果から、「最高価格」「妥協価格」「理想価格」「最低品質保証価格」の四つがわかります。

A 最低品質保証価格
最低品質保証価格は、「これ以上安くすると商品の品質を疑われてしまうギリギリのライン」です。たとえばパンが10円で売っていた場合、安く購入できるのは嬉しいことですが、「このパンには問題があるのではないか」と考える人も多いでしょう。

B 理想価格
理想価格は、消費者が「こうであってほしい」と考え、購買に対して否定的な意見をもつ人が最も少ない価格です。一般的に妥協価格よりも少し安くなるのが特徴で、パンの妥協価格が150円だとすれば、理想価格は100円程度のイメージになります。

もちろん理想価格は、消費者に寄り添った価格帯なので、最高価格のように大きな利益は出せません。ただしバランスの良い収益を達成できるため、生産者・販売者はこのラインを意識します。

C 妥協価格
妥協価格は、様々な商品やサービスがある中で、妥当に近い価格を指します。たとえばパンが1万円で売っていれば、誰もが高いと感じるはずです。しかしパンが150円で売っていれば、「まあパンならそのくらいだろう」と考える人がほとんどでしょう。これが妥協価格です。
人間は無意識のうちに「この商品はこれくらいの値段が相応しい」とレッテルを貼っています。妥協価格はこうした人間心理に合致した価格であり、一般的な感覚に基づいたものになっています。

D 最高価格
最高価格は、文字通り「生産者側が付けられる最高の価格」であり、言い換えれば「これ以上高くすると消費者から買ってもらえなくなる」ラインでもあります。
消費者にとって高い価格であるのは間違いないですが、「手を伸ばせば届く金額」でもあるため、一定の需要が見込めます。

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セールなどで商品を安くする場合、「どこまで値段を下げれば良いのか」と悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。そのような状況下では、この最低品質保証価格の考え方が役立ちます。まとめると、「最高価格」「妥協価格」「理想価格」「最低品質保証価格」の順で価格が下がっていきます。

●受容価格帯とは
商品やサービスの価格帯は、以下の五つに分けられます。

1.高すぎる価格帯
2.割高価格帯
3.適正価格帯
4.割安価格帯
5.安すぎる価格帯

上記のうち、2、3、4が受容価格帯であり、「商品やサービスの価格を設定する時はなるべくこの需要価格帯に合わせると良い」とされています。

ちなみに先ほど紹介した四つの価格と価格帯の関係は、以下のイメージです。

・最高価格→1と2の境目
・妥協価格→2と3の境目
・理想価格→3と4の境目
・最低品質保証価格→4と5の境目

とくに最高価格の場合、少しでも高くしてしまうと「高すぎる価格帯」になり、誰からも商品を買ってもらえなくなる可能性があります。また最低品質保証価格も同様で、そこから少しでも価格を下げてしまうと、品質に関する疑念を抱かれてしまうでしょう。

PSM分析のメリット

PSM分析には、主に2つのメリットがあります。

●シンプルでわかりやすい設計
PSM分析の質問は設問数が少ないうえに、設問内容も分析結果もシンプルです。設問数も少なく、回答者も直感的に回答できます。ネットリサーチの費用は、アンケート回答数(サンプルサイズ)と設問数で決まるため、費用をおさえて実施することも可能です。

●消費者目線の適正価格が算出される
アンケート回答者自身が、4つの項目について数値を入力して回答するため、回答者目線の適正価格が算出されます。実際のターゲットが思う適正価格のデータは、実際の値付け時に参考になるでしょう。

PSM分析のデメリット

PSM分析は商品価格の決定のシーンにおいて活用されやすい手法ですが、一方でデメリットも存在することを忘れてはなりません。具体的に、どのようなデメリットが存在するのか触れていきます。

●実現困難な価格が算出されることがある
PSM分析は、消費者の希望・願望が反映される分析手法です。企業からみて、実現が難しい価格帯に関する回答が多く寄せられる場合があります。確かに、消費者は商品をなるべく安い価格で購入したいのが本音です。「いくらなら買いますか?」といった要旨の質問に対して、わざわざ理想の価格よりも高い価格を回答する消費者はいないでしょう。そのため、PSM分析の結果、企業の利益につながらないような価格帯が算出されてしまうこともあります。しかし、必ずしもPSM分析の結果を商品価格に反映させる必要はありません。あくまでもPSM分析の結果は「参考」とする情報に過ぎないので、利益や商品開発コストなどとバランスをみながら調整してください。

●実際に購入することを前提にした価格感ではない
これが最も大きなデメリットとなるかもしれません。PSM分析を行う調査では、購入意向も合わせて取得することが多く、価格と購入意向を掛け合わせて考察します。過去に実施したことがある方は経験があるかもしれませんが、上市した後にこの購入意向通りの結果に良くも悪くもならないことがあるのです。
なぜならアンケートで回答した価格感には、実際に自分の財布からお金を出して購入する、というリアリティがどうしても抜け落ちてしまうのです。

PSM分析の注意点

結局のところ、PSM分析の結果だけを妄信してはいけない、ということです。実際に価格を決めるときには、PSM分析の傾向を把握したうえで、必要に応じて、他の分析方法や聞き方、インタビューなどの定性調査も組み合わせて価格受容性を考察すべきです。

価格受容性に関する内容は、以下でも詳しく解説しています。
ネオマーケティングでは、最適価格に近付くための調査の支援実績が数多くあります。価格受容性について課題をお持ちの方は、是非お気軽にご相談ください。

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ネオマーケティングは国内約2700万人のアンケート会員を保有するパネルネットワークを構築、ご希望の調査対象者にリサーチを実施することが可能です。
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