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SNSを活用したストーリー発信に有効な3つのインサイト

ライター:高橋勇策

公開日:2023年12月06日

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目次

マーケティングにおいて、いまや欠くことができないものになったSNS。SNSをうまく活用することで、情報発信はもちろん、ユーザーとのコミュニケーションを深めることもできます。しかし、大きな期待をもってSNSをはじめたけれど、どうにも手応えが感じられない——そんな広報・宣伝担当の方も多いのではないでしょうか。

本コラムでは、SNS施策に課題感を抱いている企業、担当者に向けて、SNS運用方針の考え方、投稿に大切な視点をアドバイスします。

なぜ、SNSの運用がうまくいかないのか?

「SNSを自社で運営しているけれど、果たしてこれが正解なのかわからない」
「最初はよかったのに、フォロワー数がまったく増えなくなった」
「いいねや、リポストされることがほとんどない……」

そんな悩みを抱えているSNS担当者は少なくないことでしょう。また、外部へ委託していて、「期待したほどの成果が見えないが、何が悪いのかがわからない」という方もいるのでは?

細かな問題はそれぞれあるかと思いますが、SNSの運用に手応えが感じられないその理由の根底には、“ストーリー”の不在があるかもしれません。
X(旧Twitter)やInstagramなどに代表されるSNSを使って情報発信をするには、ストーリー性が必要です。

成熟市場の中で、品質やデザインなどによって商品を差別化することが難しくなっています。企業がどんなに自信をもって特徴や効能をアピールしたところで、生活者にとっては大同小異。同業他社のものと、区別はつかないものです。

それどころか、あふれる情報のなかで、生活者はスマホから飛び込んでくる情報を自分にとって必要か否か、瞬時に仕分けていますから、アピール自体が届いていない可能性もあります。

スワイプする手を止めるのは、興味関心のあることだけ。情報をスルーする術を身につけた生活者にとって、企業の一方的な商品情報、特に広告のように自己都合な発信には、興味をもつどころか、心理的バリアが強く働きます。

また、コロナ禍を経験して、情報に対するエビデンスやファクトチェックへの意識が高まっていますから、効果効能に対して、そのまま受け止めるのではなく、いったん留保する人が増えているように感じます。

ブランド発信の言葉を、ある意味、生活者は極めて冷静に見るようになりました。そんな生活者に届くものはなにかというと、やはり“ストーリー”です。

たとえば、ブランド誕生の裏話。あるいは、商品に込めた社会課題解決への思い。通常であれば語られることのない背景に光をあてた物語は、生活者に響くものです。それが他の商品・ブランドとの差別化となり、共感を得るきっかけになります。

生活者が期待しているのは、ブランドの一方的なストーリーではありません。この商品は、日々の生活で感じている不便を解消してくれる。あるいは、問題視していた社会課題の解決につながる——そんな期待を抱かせるストーリーなのです。

味の素冷凍食品がSNSで展開した“ストーリー”

SNSでの発信によってブランドと生活者の距離を縮めているのが味の素冷凍食品です。最近も、味の素冷凍食品はSNSをきっかけに「フライパンプロジェクト」を展開して注目を集めましたが、今回、取り上げるのは2020年に話題になったものです。
少し、古いお話なので、改めて紹介します。

ある女性が、夕飯に冷凍餃子を出して夫に「手抜き」扱いされた出来事をTwitterに投稿。その投稿自体はユーモラスなものでしたが、「冷凍食品を夕食に出すのは手抜きか否か」をめぐる大論争に発展。これに対し、味の素冷凍食品の公式アカウントがこう投稿したのです。

「冷凍餃子を使うことは「手抜き」ではなく「手“間”抜き」ですよ! 工場という“大きな台所”で、野菜を切って、お肉をこねて、皮に餡を包んで…という大変な「手間」をお母さんに代わって丁寧に準備させていただいています。(続)

で、その下ごしらえの「手間」を代わることで生まれた時間で、世の中のお母さんは何をしているかというと、目の前でダダをこねるお子さんを抱きしめたり、勉強を頑張るお子さんの宿題をみてあげたり、遠くのご家族と電話したり…“誰かのため”に使っていることが多いと思うんです。(続)

だから「手抜き」じゃなく、「手間抜き」だと声を大にして言いたい! 私も2児の母ですが、惣菜ポテサラも冷凍餃子も…使うことに何の罪悪感もありません! これからももっと前向きな気持ちで使っていただけるようお伝えしていきますので、引き続き、応援いただけると嬉しいです!

これに対して、「よくぞいった!」「味の素さんのギョーザ大好きです」「グッドツイート」といった称賛のコメントが多数寄せられました。

そして、そこからさらに味の素食品は、動画投稿サイトに工場での製造工程を公開し、実際に、味の素の冷凍ギョーザが工場でいかに「手“間”抜き」されているのかを紹介。冷凍食品製造の“ストーリー”を見せたのです。

冷凍餃子をPRするのであれば、ダイレクトに味へのこだわりや簡便性を訴えることがセオリーです。しかし、消費者が関心と共感をよせたのは、「手間をかけられない時に自分や家族を助けてくれる存在」だという点でした。そんな消費者が抱いている小さな罪悪感を公式アカウントは即座に救いとったのです。

また、味の素冷凍食品が巧みなのは、SNSを「オープンなコミュニケーションの場」として位置づけていることです。

SNSで情報を発信する以上、ネガティブなコメントは必ず出てきます。それをリスクとして排除するのではなく、SNS活用の大前提として捉え、判断や意見をユーザーにある程度、ゆだねるのです。それがさまざまな投稿を引き出し、良い意味での賛否が生まれ、結果としてブランドへの共感を高めることにつながる。こうした“余白”を残す仕掛けは、ストーリーを紡ぐうえでとても重要なことです。

冷凍餃子の事例は、SNSによって企業と生活者の距離が縮まり、ブランドイメージを高めた好事例です。ただし、これはそもそも偶発的に起きたことで、企業の担当者が仕掛け、意図的にバズらせることは簡単にできることではありません。

ストーリーのない発信に対する課題感

SNSの運用を見直すには、まず自社のSNSが一方的な「ブランド主語」の発信になっていないか、確認してください。ブランド主語の発信は、往々にして共感を得られません。企業側がいいたいことだけをいっていたら、消費者に「ピンとこない」「自分向けに感じない」と思われても仕方ありません。一方的な商品自慢などもってのほかです。

メッセージが一方的だと、実際はユーザーだとしても、その商品を選択して使っている自覚と結びつかず、「使っていない」「興味がない」と認識してしまうこともあります。カテゴリーとして認識していても、ブランドとして識別されないない残念なケースです。

もちろん、ブランド主語の発信に対して、生活者のすべてがネガティブな反応をするというわけではありません。キャンペーンをきっかけにフォローをしただけで、基本、「スルー」という人がいれば、きれいな写真や画像に対して一瞬だけ手をとめる層もいるでしょう。そして、どんな投稿であっても、「いいね」や「❤︎」でリアクションをする一部のファン層もいます。

反応は段階的で、おもにこうした3段階が想定できます。ストーリーがなくても、ブランド主語でも、一部、好感をもってくれているファンからのリアクションはあるものです。ただし、通常は他の成果を上げているブランドのSNSアカウントに比べてエンゲージメントが低いのが特徴です。

ストーリーテリングの手順とは

「ブランド主語」になってはいけないということは理解していても、企業がPRや宣伝のために行うことですから、ブランドに関連する情報にはなります。広報戦略上もマーケティング戦略上も、ブランドにとってプラスの成果が求められますから、何かしらの利点を伝えないわけにはいきません。

ポイントは、会社やブランドにとってどうなのかではなく、生活者にとってどうなのかを語ることです。「消費者目線」「生活者起点」のストーリーを語るのです。

では、どうしたら「消費者目線」「生活者起点」のストーリーをつくれるのか? そこで重要となるのが「インサイト」です。

インサイトとは「潜在意識」——生活者の隠れたホンネや意識のこと。マーケティングにおいて重要とされる概念ですが、3つのインサイトを意識すると、ストーリーの構築がより効果的になります。

インサイトには3つの視点があります。「生活者インサイト」「ブランドインサイト」「ソーシャルインサイト」です。

「生活者インサイト」とは、生活者が日々感じている課題や欲求です。商品に直接かかわらない価値観やライフスタイル、情報へのかかわり方も該当します。
この「生活者インサイト」が欠けたメッセージは、決して自分ごと化されません。

「ブランドインサイト」は、生活者がブランドに対して感じているパーセプションや期待などです。先ほどの冷凍餃子の例でいうと、「手間をかけられない時に自分や家族を助けてくれる存在」というのが、ブランドインサイトになります。
n=1調査では偏愛ユーザーの独特な使い方やブランドへの期待に注目しますが、一般的なユーザーの深い洞察も役に立つものです。

「ソーシャルインサイト」は、“今”という時代のことです。社会的風潮やトレンド、ターゲットとなる層の傾向もソーシャルインサイトに含まれます。

「生活者インサイト」も「ブランドインサイト」も、この「ソーシャルインサイト」と地続きにあり、結びついています。この接点を見出すことが、ストーリー開発の肝になります。

さらに、この3つのインサイトのうち「生活者インサイト」と「ソーシャルインサイト」は、「時代の鏡」でもあります。自由闊達な生活者が存在するSNSというプラットフォームと非常に相性が良く、生活者起点でのストーリーを発信するうえで欠かせない視点です。

また、SNSの特性を考慮するとより効果を高めることができます。X (旧Twitter)は拡散性と持続性が高いという特徴がありますし、ユーザーの声が集積しやすいのがInstagramです。TikTokは若い世代を中心に広くアプローチするのに適しています。こうした、SNSそれぞれのカルチャーに合わせてストーリーをアレンジしていくといいでしょう。

広報・PR部門とソーシャルリスニング

インサイトを活用した生活者視点でのストーリー作りについて、まとめてきましたが、最後にもう一つ。

広報・宣伝を、従来のようなブランド評価を主体としたマーケティングリサーチや戦略方針だけに頼ると、独りよがりな一方通行の発信になりがちです。それはこの先、どんどん時代にそぐわないものになるでしょう。

一方で、ソーシャルリスニングの重要性は今後さらに高まっていくことは間違いありません。SNSは社会性・時代性・消費者インサイトなどを知る絶好のツールなのです。SNSは即時性やシーズナリティ、ニュース性にとんでいます。ソーシャルリスニングを続けると、よって大きなうねりのようなトレンドを見いだすことができます。

トレンドを敏感に感知し、時代との接点を常に維持しつづけることで、企業・ブランド・商品にとって効果的な広報・ストーリーを発信し続けることができます。その意味で、前例や自社の常識に凝り固まらない「柔軟性」は、この先、広報やPR、マーケティングに携わる人間には不可欠な素養になるでしょう。

広報・PR部門は対外的な発信は当然として、ソーシャルリスニングで得られた知見を社内で積極的に発信していく必要があります。社内のどんな部門であろうと、トレンドに対する感度が求められます。広報・PR部門はその中心として機能していくべきなのです。

長い目で見れば、社内に向けた情報発信の取り組みが社内のイノベーションを創発し、新たな事業創造・開発へつながることも期待できます。そうした一連の活動が、企業の発信すべき新たなストーリーを生むきっかけとなり、企業価値向上へ貢献するはずです。

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高橋勇策
WRITER
高橋勇策
株式会社ネオマーケティング コミュニケーションプランニング部 ストラテジックプランナー マーケティングプランナーとして三菱電機のハウスエージェンシーにてキャリアをスタート。その後、株式会社大広で22年にわたりストラテジックプランナーとして戦略立案に従事。新商品開発・ブランディング・統合コミュニケーション・デジタルコンテンツ開発等に携わる。 酒類・飲料・健康食品・食品・官公庁・旅行・保険・電機メーカーなどのクライアントを担当。

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