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アジャイル・マーケティングの定義と背景

ライター:今泉 陽介

公開日:2021年10月06日 | 更新日:2023年11月08日

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目次

社会やライフスタイルの変化に応じて、マーケティングの有り様は常に変わっていきます。これまでもさまざまな新しいマーケティング理論が誕生してきましたが、デジタル技術が浸透し、変化のスピードが加速度的に上がっているいま、注目を集めてるのが「アジャイル・マーケティング」です。
本コラムでは、この「アジャイル・マーケティング」について解説します。

変化の時代に対応するマーケティング

「アジャイル(Agile)」とは、「機敏な、敏しょうな」「頭の回転の速い」という意味があります。「アジャイル・マーケティング」も直訳すれば「機敏なマーケティング」となるわけですが、そもそもはソフトウエアの分野で広がっていた「アジャイル開発」の考え方をマーケティングに取り入れたものです。

かつて、システムやソフトウエア開発は、すべての工程に対し綿密な計画を立て実験的な検証を重ね、完成に至る「ウォーターフォールモデル」が主流でした。
ウォーターフォールモデルは管理がしやすく、それぞれのタスクが明確になるなどメリットがあります。その一方で、大規模かつ長期間のプロジェクトになるため、仕様の変化や追加のオーダーに柔軟に対応できないというデメリットもありました。

そこで、ウェブやアプリなどサイクルが早いものについては、小さな規模でおおまかに計画し、設計からプロトタイプの作成まで“機敏に”進める「アジャイル開発」が主流になっていったのです。
顧客のニーズやクライアントの要望をベースに、随時、方向性を調整しながら開発し、リリースした後もユーザーの声を反映ながらアップデートしてよりよいものにしていく。これが「アジャイル開発」です。

マーケットが急速に変化していく現在、マーケティングにおいてもスピードが求められています。また、生活者のニーズが多様化・複雑化するなか、「これは絶対にうまくいく!」といったマーケティング施策を立てることが難しくなりました。

だとしたら、小さくはじめて素早く実証に移ったほうが、目まぐるしく変わる市場の変化に対応できる。微調整を繰り返すなかで成功の芽を見つけ、資源や人などのリソースを集中させたほうが成功確率は高まるーー。変化の時代に素早く柔軟に対応するマーケティングのあり方として、「アジャイル・マーケティング」が注目を集めるようになったのです。

高速マーケティングの時代

アジャイル・マーケティングが求められる背景には、間違いなく、デジタル技術の浸透があります。インターネットによって「つくる」「伝える」「買う」というすべてのポイントが高速化し、マーケティング自体が「高速マーケティング」の時代に入ったからです。

1.つくる――製品製造の高速化
原料調達から部品生産、組み立てなど、製品完成までの水平分業がグローバル化しています。自社工場を持たずとも、求めたクオリティのものが安価に素早く海外の工場で作ることができます。小さなスタートアップでも、インターネットで検索しメールで交渉して、海外の工場への生産を依頼することができる。「つくる」ことへの障壁はなくなりつつあります。

2.伝える――情報伝達の高速化
完成した商品の情報はもちろん、その評判についてもインターネットを通じて、即座に世の中に伝わっていきます。コミュニケーション、伝えるスタイルも高速化しています。

3.買う――購入の高速化・簡単化
通勤中、SNSで気になる商品を見かけたら、その瞬間にスペックをチェックして、他社製品と比較。気に入れば、すぐに楽天やアマゾンで購入できる時代です。eコマースの拡大とスマホによって、「ものを買う」という行為も速く、そして簡単になっています。

「つくる」「伝える」「買う」というのは、「マーケティングの4 P」のうちの3要素――Product(製品)、Place(流通)、Promotion(販売促進)にあたります。つまり、マーケティングのフレームのほとんどが高速化してしまったわけです。

また、製造・情報・購入の高速化を可能にした「デジタル」は、さまざまなデータをリアルタイムで手にすることも可能にしました。顧客データを「測る」という部分も高速化が可能となり、アジャイル・マーケティングの浸透を後押ししているのです。

アジャイルでなければ勝てない

アジャイル・マーケティングは日本では比較的、新しい概念ですが、アメリカのグローバル企業では5年前にはすでに「アジャイルでなければ勝てない」と言われていました。

新商品開発についても、計画から実行、評価・検証をして改善につなげる「PDCAサイクル」を1年単位でやっていたらとても間に合わない。1年分の売上や広告コミュニケーションの効果測定のデータを集め、3か月かけて分析して来期に役立てるというのでは遅すぎる!という意識です。

少なくとも3か月のクォーター単位で、PDCAサイクルを回す。場合によっては、リアルタイムの情報も重視して柔軟に判断をしていく。分析の精度が多少落ちたとしても、スピードは緩めない。これほどまでにスピードを重視するのは、高速化するマーケティングに対する強い危機感があったからです。

新商品開発に1~2年かけて消費者調査をやり、1000人規模の定量調査を行う。そこから何人か集めて意見やニーズを深掘りし、新製品や改良のアイディアを固めていくつかプロトタイプを作り、それをまた消費者調査にかけて好評だったものがようやく商品化。
ものができたら全国キャンペーンを展開しようと、戦略を練り、2~3か月かけて広告PRのクリエイティブを制作して、大々的に売り出していく…。

こうした従来の段取りを踏んでいる間に、スタートアップ企業がユニークなアイディアを商品化してしまうかもしれない。その商品がSNSで話題になれば顧客を大きく奪われてしまう。柔軟な発想で面白いものを、すぐにマーケットへ出したほうが評価されて、売れてしまう時代、世界展開する企業ですら、この状況に危機感を抱いているのです。

アジャイル・マーケティングとブランド確立の両輪で

いま現在の生活者のニーズが、1年後も変わらないとは言い切れません。変化が激しく、揺らぎ続ける環境のなかで、不確実性のリスクを最小限に抑えながら、スピーディにニーズに応えていくにはアジャイル・マーケティングが不可欠だといえるでしょう。

ただし、忘れてはいけない部分があります。高速化に対応したスピード感あるマーケティングが重要だといっても、ただただ急げばいいというものではありません。
「PDCAサイクル」の回転数を上げることが必要であって、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)の各工程のどこか、あるいはすべてをなおざりにしていいということではありません。

だいぶ改善されましたが、日本では、PDCAサイクルを導入しても、計画して戦略を立てて実施しておしまい、やったらやりっぱなしというケースが少なくありませんでした。何がよくて何が悪かったのかを評価し、改善して次のアクションに活かすことが重要なのに、ひと段落つくと「次のキャンペーンどうしよう」と検証をしないまま先に進んでしまう。
言うまでもありませんが、PDCAサイクルをキチンと回していくことが大前提です。そのうえで高速化していかなくては、ただのやっつけマーケティングになってしまいます。

そしてもう1点。アジャイル・マーケティングでは柔軟さが要となりますが、だからといって、「ブランド」としての軸が揺らぐことはあってはいけません。
中長期のブランディングは最も大事である、というのはどんな時代でも変わりません。強いブランドになれば、何もしなくても顧客は買い続けてくれるのですから。
じっくり育てていくブランド管理とスピーディで柔軟なアジャイル・マーケティング。この両輪がこれからのマーケティングのスタンダードになっていくのではないでしょうか。

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今泉 陽介
WRITER
今泉 陽介
メディアインタラクティブ(現:ネオマーケティング)入社後、家電・食品・飲料・日用品・外食・小売等のマーケティングリサーチ企画・設計・実査管理を担当。 2017年にマーケティングソリューションディビジョンにてリサーチからマーケティング施策提案や新サービス開発を行う。社会課題を解決する活動をPRするサービス「Social Impact Survey PR」の企画開発からリリースを手掛ける。

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